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柔道に学ぶ“理”と“こころ” ― 嘉納師範の教えに見る身体理解の原点

こんにちは。柔道整復学科の木野田です。
皆さんは「柔道」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。オリンピックなどの試合での勝敗、礼儀作法、あるいは体力や根性を鍛えるもの ―― さまざまな印象があると思います。
しかし、柔道の創始者・嘉納治五郎師範が目指したのは、単なる格闘技ではありませんでした。嘉納師範は柔道を「理にかなった動きで相手を制する道」として、教育や人間形成の柱に据えたのです。
嘉納師範の考え方には、物理学や運動学といった科学的視点が息づいています。
たとえば、投げ技を行う際には、相手の重心を崩すことが基本です。これは力学でいう「てこの原理」や「モーメント(回転力)」の応用です。無理な力を使わず、相手の動きを読み取り、最小の力で最大の効果を得る――まさに、柔道の核心であり、物理法則そのものと言えます。
さらに、柔道の動きを運動学の視点から見ると、関節の動きや筋肉の連動、体重移動のバランスなどが精密に計算されていることに気づきます。
柔道整復師の仕事も、この運動学的理解に深く結びついています。どのように関節や筋が働いているのか、どうすれば安全に整復できるのか――柔道で培った身体感覚と科学的知識が、そのまま臨床の現場で生かされるのです。

嘉納師範の掲げた「精力善用」「自他共栄」の理念は、まさに医療の根本とも通じます。自らの力と知識を他者のために役立てること。それが、柔道の精神であり、柔道整復師の使命でもあります。
柔道の理(ことわり)を学ぶことは、人の身体の理解を深めることに他なりません。
これから柔道整復師を目指す皆さんにも、嘉納師範の教えを胸に、「理」と「こころ」を両輪にして成長してほしいと願っています。

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