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【柔整コラム】生理学で紐解く柔道

んにちは。柔道整復学科の木野田です。

柔道を科学的に見てみようのコラムです。
前回は柔道の立技(投げ技)にお話をしましたが、今回は寝技の中でも「絞め技」についてお話します。

柔道の絞め技(しめわざ)は、相手の首元を締めて意識を失わせる技の総称です。
絞め技にはさまざまな種類があり、柔道の試合では絞め技によって相手を降参させることができます。
今回は絞め技を生理学の観点から紐解いてみようと思います。

人間には「反射」という身体の反応が備えられています。
「一定の刺激に対して自動的で無意識的な身体の反応」が反射の定義とされます。
例えば、熱いものを触れたときに手を引っ込める動作や、まぶしい光を見たときに眼をつぶる動作、体温が上がると汗が出ることも「反射」になります。

さて「絞め技」ですが、この反射を利用して相手を制することになります。
どのような反射かというと・・・
を利用します。

実践的な柔道の動きを簡単に解説すると・・・

①道衣の襟や腕などを使って頸動脈を圧迫
②この圧迫によって身体は「血圧が上がっている」と認識(※頸動脈を「圧迫」が肝心。「血を止める」のではない)
③高い圧で脳へ血液を送ると脳の血管が破れたりするので危険と身体が判断
④血圧を下げる命令(血管が広がる・心拍数減少)が身体に下され血圧が下がる
⑤脳への血流が少なくなり失神する
※柔道では失神する前に降参(参った)するように指導される

この一連の反応が「反射」であり、生理学では「頸動脈洞反射」や「へーリング・ツェルマーク反射」と呼ばれます。
この反射が効率よく発現するポイントがあるため、頸部のどの辺りをどの角度で圧迫するべきかという解剖学的な知識も大切な要素になります。適当に絞めてはいけません。

柔道に限らず、格闘技には身体の仕組みを利用した「技」(理にかなった動き)が 多く存在します。
柔道は「投げる・極める(抑える・絞める)など」を誰がかけても、誰にかけても同じ効果が得られるまで繰り返し検証され続けて発展してきました。
今では、感覚でしかとらえられなかったことが、映像や数値で科学的に解明されるようになっています。
先人が残した「技」が現代の解剖学的な知識や生理学的な身体の働きで後から解明されるなんて・・・とてもロマンを感じますね。

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